ガーデニング初心者 最初に覚えておきたい土作りの基本
植物を育てる上で必ず必要になるのが土です。園芸店やホームセンターに行くと驚く程多くの種類の土があり、手持ちの植物には何が適しているのかわからず困ってしまう事がよくあると思います。予め大まかな土の種類とその性質を知っていると、正しい土選びができてきます。初心者でもわかりやすい内容で考えていきたいと思います。
Contents
1.まずは植物と土に相性があることを知ろう
現在では流通が盛んになり、世界中の様々な環境で生まれ育ち長い歴史を築いてきた植物達がここ日本でも沢山見られるようになりました。植物には個体毎に原産地があり、多くはその原産地の環境と土壌の性質に適しています。原産地の環境と土壌の性質を知ることがその植物に適した土作りを行う上でのヒントになります。
土にはph値によって分けられたものと、構造における特徴で使用用途が分けられています。
まず土には酸性・アルカリ性・中性があります。
日本の気候は酸性雨が降り降水量が多く多湿であり腐植質も多い為ほとんどの地域の土壌は酸性〜弱酸性になっています。その為日本の原産種や日本で自生する植物の多くは酸性よりの土壌を好む傾向にあります。
ですので酸性を好む植物にアルカリ性の土で育てようとすると生育が悪くなったり枯れてしまったりと、上手く育てていく事ができません。
それに対しアルカリ性の土壌を好む植物にも同じ事が言えます。
そして土の構造における特徴には大きく4つあり通気性の良い土・保水性のある土・排水性のある土・保水性のある土があります。植物にはこの4つの要素がバランスよく揃っている事で快適に元気に育っていくことができます。これらの要素を踏まえて、その植物の性質に見合ったバランスの良い土をつくる事で元気に育てる事ができるのです。
2.最初はこれだけ知っておけば大丈夫!基本用土と改良用土
土を配合する上で¨基本用土¨と¨改良用土¨があります。
基本用土には地域性があり似た特徴を持つ土が沢山あるのでお店毎や地域で随分違いがあります。全てを知る必要はないので、土を配合する上で最初はこれだけ知っておけば大丈夫!と言えるものを紹介します。
まず基本用土とは、ベースとなる土の事で全体の半分以上を占めます。それに改良用土を加えて植物毎にあった土を作っていきます。
①基本用土・赤玉土
赤玉土とは関東ローム層の火山灰を乾燥させた酸性の土。粒状であり微塵も多く含まれる為ふるいにかけ、「大粒」「中粒」「小粒」「極小粒」と粒の大きさにわけられて売られています。
主に小粒が用いられる事が多く、大粒は鉢底石のとして使用したりする。通気性、排水性、保水性、保肥性があり粒の大きさによって使い分けもできほとんどの植物に使用される万能選手です。
②基本用土・鹿沼土
関東ローム層でとれる軽石。栃木県鹿沼地方でとれる。
粒状であり「大粒」「中粒」「小粒」にわけられて売られています。
酸性である為、サツキやツツジ、アジサイ、ブルーベリー等酸性土壌で育つ植物によく使用されます。
安価な物は触るとポロポロ崩れるものがあるので、硬くくずれにくい物を選ぶようにしましょう。
こちらも通気性、排水性、保水性、保肥性があります。
③基本用土・軽石
軽石は多孔質で水よりも軽く、硬く崩れにくい為主に鉢底石として使用されています。通気性、排水性が高く、鉢やプランターの底にしっかり敷き詰めて入れておくと鉢底の水切れが良くなり根にとって快適な環境作りの要になるので鉢やプランターには必ず使用するようにしましょう。
④改良用土・腐葉土
落葉広葉樹を腐敗させ完熟させた有機物。通気性、保水性、保水性があり触るとふかふかしています。
必ず完熟させたものを使用します。完熟しているものは漆黒で葉の断片が細かくなっていて崩れにくく、嫌な臭いがありません。
未熟な腐葉土は葉が茶褐色で葉が大きいまま残り嫌な臭いがします。この様な未熟な腐葉土を使用すると腐葉土中の微生物が窒素分を奪い植物が窒素不足になり生育不良を起こすので、必ず使用する際や購入する際に見極めるようにしましょう。
⑤改良用土・ピートモス
水苔等複数の植物が堆積し腐植化したものを脱水した有機質の用土。通気性、保水性、保肥性があります。
袋から出し使用する分だけを水に浸し十分に吸水させてから基本用土に混ぜ込みます。
強い酸性であり、酸性を好むブルーベリーや山野草、湿地帯の植物によく使用されています。
中には中性よりに調整されているものあるので使用目的によって使い分けます。
強酸性のものでも石灰等アルカリ性の用土を混ぜる事によって中和させる事もできます。
水やりを忘れ1度完全に乾燥させてしまうと撥水するようになり再度水分を吸う事は難しくなる為、保水性が高いパーライトと共に使用する事をお勧めします。
⑥改良用土・パーライト¨真珠岩パーライト¨黒曜石パーライト
パーライトとはパーライト原石等を高温で熱処理をして発泡させたもの。多孔質で軽量、中性、無機質。排水性があり保水性に特に優れており園芸用土ではかかせない存在です。パーライトには主に¨真珠岩パーライト¨黒曜石パーライト¨があり用途により使い分けられています。
¨真珠岩パーライト¨は白く荒い小粒状をした物で保水性が抜群で、排水が良すぎ水持ちの悪い土壌改良剤として用いられています。
¨黒曜石パーライト¨も真珠岩と同じく保水性に優れており、弱冠であるがイオン交換性があり付着水をミネラル水となる為根腐れ防止効果が期待できる優れ物です。
⑦改良用土・苦土石灰
苦土はマグネシウム、石灰はカルシウムでありその2つを合わせたものが苦土石灰です。アルカリ性であり酸性土壌に混ぜ込むことにより中和させる事ができます。
マグネシウム、カルシウムを含む為アルカリ性を好む植物や野菜などに使用され、カルシウムは根を強くし、マグネシウムは葉を色ツヤの良い緑色にし、植物を育てる上での5大要素のうちのマグネシウム、カルシウムを補いなくてはならない存在です。
下葉が黄色くなり色ツヤが悪い場合はマグネシウム不足が考えられます。
石灰は苗の植え付けの1〜2週間前に土作りを行うとされています。が、メーカーにより様々で、撒いてすぐに使用できる物もありますので袋にある詳細をよく読み使用しましょう。
石灰と肥料を同日に撒くとアンモニア臭を発生するので、石灰を撒いてから1週間後に肥料を撒きましょう。肥料が土壌に馴染むのにも1週間程度かかかり、馴染んでから植え付けた方が生育がよくなる為それにより2週間前より作業をする事を覚えておきましょう。
散布量はメーカーにより異なるので使用方法をよく読み正しい量を使用して下さい。
3.市販されている便利な培養土
園芸店やホームセンターに行くと必ずおいてある培養土。1度は購入した事があるのではないでしょうか。
培養土とはその植物毎に適した基本用土、改良用土を配合してある土のことです。
その対象は本当に様々で「花苗用培養土」「観葉植物用培養土」「サボテンの培養土」「花・野菜の培養土」等幅広く掲示しているものから、
「ビオラ・パンジーの培養土」「トマトの土」「ブルーベリーの土」「薔薇の培養土」等品種をしぼったた培養土まで沢山の商品が出回っています。
初心者には大変便利な培養土ですが良い点と注意すべき点があげられます。
培養土の良い点
対象を広く掲示しているものはその対象としてある多くの植物の共通点を重視し、通気性・排水性・保水性・保肥性をバランスよく配合されていると考えられ、対象をしぼっているものはその植物の性質に特化したものと考えられます。
例えば「サボテンの培養土」とあれば通気性、排水性に特化した配合になっていたり、「ブルーベリーの培養土」とあれば強酸性の配合でできています。このように品種が限定されていても、他の似た性質をもった植物に使っても問題ありませんが、メーカーにより成分が異なるので使用する前に成分表を確認するようにしましょう。
元肥入りのものもあり最初に肥料を用意する必要のないものもあります。初心者や土のブレンドが面倒な方、マンション住まいで土の置き場に困る方などにはとても便利で使いやすいものです
注意すべき点
花の土や観葉植物の土等対象を広く掲示しているものは便利ではありますが、品種毎にその性質は多きく異なる為、これらの培養土だけでは不完全な場合もあります。
そのような場合は結局は自分で足りない要素を補わなければなりません。
元肥入りのものは、肥料成分がきちんと記載してあるものを選びましょう。元肥入りのものも最初に肥料を用意し馴染ませる必要がないので便利ですが成分がわからないと追肥のタイミングが解りづらく肥料過多や肥料切れになる恐れがあるので、野菜苗に使用する場合は特に注意が必要です。
そして購入する際は販売元、製造元、使用されている用土や肥料成分がきちんと記載されているものを選ぶようにしましょう。
中には粗悪な土もあるので信頼できるメーカーから購入しましょう。判断が難しい場合はネットで購入するのがおすすめです。商品説明がきちんと明記されているもので、購入者の口コミを参考にすると解りやすいですし、重たい土を玄関先まで届けて頂けるのでお子様連れや女性、お年寄りの方には助かりますね。
4.植物と土の性質を知り、土作りの基本を知ろう
土作りの基本で花苗から観葉、バラ、野菜まで幅広く共通する配合は【赤玉土7・腐葉土3】と言われています。
この基本を元に、育てたい植物に合った改良用土や肥料を足してブレンドしていくのです。特にかたよった性質もなく強健な植物にはこの基本と肥料だけで十分元気に育ちます。まずは育てたい植物の性質を知る事から土作りを始めていきましょう。
最初にも述べましたが土には地域性があり様々で、その地域毎にメジャーな土があるので、販売店の方に相談してみるとまた勉強になると思います。
5.まとめ
土には酸性・中性・アルカリ性があり、基本用土と改良用土という役割に分けられ、さらにその構造における通気性・排水性・保水性・保肥性があり、これらは園芸をする上で必ず知っておくべき項目です。
最近ではマンション住まいや田舎から離れる人が増え、更に大人になってから土に触れる機会も少なくなった方が多いと思います。その反面ベランダ菜園やベランダで花を育てる特集などもメディアなどでよく取り上げられるようにもなってきて、興味がある方も沢山いらっしゃると思います。もちろん土を扱うということは汚れますし場所もとり虫が寄ってきたりします。それでも人は土の匂いをかいだり触ったりすると不思議と心が安らぎます。少々汚れようが虫がこようが気にならないくらい、植物を育てる事は人にとってとても価値のある事だと思います。マンション住まいの方は隣近所の迷惑にならない範囲で、それぞれのライフスタイルに合った土選びをして下さいね。